「さようなら原発全国集会」(2017年3月20日)のあいさつ(要旨)

原発をめぐる状況は一変している

ルポライター 鎌田 慧さん






 福島第一原発事故がおきてから7年目にはいった。

 いま、原発をめぐる状況は一変している。たとえば6年前、原発反対派はほんの少ししかいなかった。マスコミはすべて原発賛成であった。いまはどうか。マスコミのなかで原発賛成は読売新聞と産経新聞ぐらいだ。かつて原発賛成だったひとがほとんど反対になっている。原発はダメだということがそれだけ浸透した。

 原発事故の被災はあまりにも大きかった。原発事故でいろいろと被災したかたが、きょうの集会に集まった。福島のひとたちの思いは、短い時間では絶対に言いきれない。一人ひとりが、いろいろな不幸や悲惨な事態にあわれた。故郷に帰りたい。しかし故郷に帰れない。そういうアンビバレント(二律背反)な生活は精神的にすごいダメージになる。夫婦仲が悪くなって離婚したり、自殺したりと、さまざまな被害が発生している。

 先日、前橋地裁がようやく、原発事故の責任は東京電力と国にあるということを明確に判断した(大きな拍手)。この判断はこれから全国的にひろがっていく。それが再稼働にも影響し、再稼働ができないような状況がひろがっていく。

 すでに原発は時代遅れである。原発はたそがれである(「そうだ」の声、拍手)。最後のひと押しをするのは私たちの運動である。

 原発反対運動を高める。あるいは沖縄の基地反対運動を高める。共謀罪反対の運動を高める。それらの運動を全部つないで憲法改悪の動きをつぶしていく。そのような運動をつよめて安倍政権を打倒する。そのすべての運動にむけて、がんばりぬきましょう。(大きな拍手)

 おそらく、ここに集まったみなさんは原発、共謀罪、沖縄、戦争反対の集会にすべて参加されていると思う(笑い)。残念といっていいのか、熱心といっていいのかわからない。しかし、もっともっと幅をひろげれば、私たちはひとつの運動に参加すればすむ。

 原発反対運動だけに特化しても勝っていける。そういうふうにするためには、いまは原発賛成だが反対派になりたいようなひと、あるいは原発反対だけど集会に参加したことがないようなひと、そういうひとをぜひ誘って10万、20万の大集会にしていこう。  もうひとつ確認できることは、原発メーカーは原発をやっているとつぶれるということである。東芝をみてほしい。ウェスチングハウス(東芝の米原発会社)をみてほしい。(「そうだ」の声)

 アメリカで原発を建設しようとしている会社も赤字になる。原発を輸出しても赤字になる。あるいは、事故がおこったら損害賠償金をとられる。このような世界的状況になっている。

 石炭、石油、原発ときたコースが、いまや完全にゆきづまっている。新たな自然エネルギーの、人間的なエネルギーに満ちた世界にむかってすすんでいる。だから苦しくても、70歳や80歳をすぎても、私たちは運動しなければならない。(拍手)

 みなさん、みてください。原発メーカーは原発のためにつぶれている。電力会社は、これから原発のためにつぶれる。(「そうだ」の声)
 軍需産業も、軍需産業によってつぶれていく。日本の原発産業は軍需産業である。東芝、日立、三菱、IHI。これらはすべて兵器メーカーであり原発メーカーである。
 この軍産一体化した企業を平和産業にしていく。そのために労働組合は、原発から脱却するという企業戦略を経営者と討論してほしい。要求してほしい(「そうだ」の声)。ひとを殺してもうかるような会社をやめよう。そのようなことを明確な要求としてかかげて経営者の姿勢を変えてほしい。これは原発もおなじである。

 私たちはけっして孤立していない。世界的にも連帯している。トランプがなんですか! 安倍がなんですか!
 明日(3月21日)の『東京新聞』に私の書いたコラムが載る。「前門のアベ、後門のトランプ」と書いた。これを打倒しなければならない。(拍手)

 原発はゆるせない。そして東電から脱却しよう。東電や九電など、いまの電力会社から脱却して自然エネルギーの電力に切り替えよう。勝利はかならず私たちにくる。そのまえに原発事故にあわないよう、原発をつぶそう。(大きな拍手)




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