官邸前行動3年 参加者の思いは
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原発再稼働に反対する首相官邸前行動は3月27日に3年目(142回目)を迎えました。そこで、毎回参加している方の座談会を開き、思いを語っていただきました。
官邸前行動は私たちの意見を表明する場
山崎 展(のぼる)さん
福島第一原発事故がおきたとき、原発はすべて廃炉にしなければ、と思った。自分も行動しなければ、と思った。しかし仕事が忙しくて、脱原発行動にはなかなか参加できなかった。
私が退職した2012年3月、タイミングよく、反原連が官邸前行動をはじめた。情報によると、この行動は個人参加であり、多くの参加者が自発的に参加しているという。私も参加してみた。
個人の自由参加で数千人、数万人とか、多いときは20万人の人が参加している。これまでとまったく違う新しい運動スタイルである。深い感動をおぼえた。
こういう運動をずっとつづけるためには、コア(核)になる人たちが必要である。私はコアには加われない。でも、参加はできる。そういうわけで、愚直をモットーに毎回参加するようになった。
官邸前行動のすぐれた点は、主張を反原発の一点にしぼっていることだ。思想や支持政党などの異なる人たちが、それを認めあったうえでいっしょに行動している。
これまでの運動をみると、意見が違うとすぐに分裂してしまう。そのいい例は原水爆禁止運動だ。この運動は原水協と原水禁がいまも分裂したままである。しかし反原発運動では、原水協系と原水禁系も統一行動に仲良く参加している。この統一行動では、反原連の役割が非常に大きい。福島原発事故をきっかけに、反原連がこれまでの運動の悪弊をうちやぶった。頼もしく感じている。
いまの国会は自民党と公明党が圧倒的多数を占め、やりたい放題をしている。国民の意見はなかなか反映されない。そういうなかで、官邸前行動は私たちの意見を表明する場となっている。
官邸前行動は学ぶ場ともなっている。以前、和歌山から参加した人のスピーチに感銘をうけた。和歌山では原発建設に反対する行動を30年つづけているとのことだった。おかげで紀伊半島には原発が1基もない。こういう話を聞くと、官邸前行動に3年つづけて参加しているからといって、けっして自慢できない。
官邸前行動に何度も参加すると、自分が成長していくように感じる。モヤモヤしていた考えが確立する。自分の生き方も変わる。そのような思いをいだいている人がけっこう多いのではないか。官邸前行動は原発ゼロを実現するまでつづけてほしい。私も、体力のつづくかぎり毎回参加したい。
政府発表を信用せず、自分の頭で考える
鈴木賢一さん
福島第一原発で事故が発生したさい、マスコミも世間も大騒ぎした。それまでは原発は安全と思っていた人が圧倒的に多かったが、この事故によって原発の危険性を大勢の人が認識した。事故から4年たった現在、マスコミは原発問題をあまりとりあげない。それでも官邸前行動はつづいている。これはすごいことだ。
とはいえ、官邸前行動の参加者は減少傾向にある。国会議員も、2012年は何人も参加していたのに、いまはわずかになってしまった。このままでは、官邸前行動はしぼんでしまうのではないか。そういう危機感もいだいている。
反原連は少人数でよくやっている。だが、少数のスタッフに過重な負担がかからないようにしたほうがいいと思う。反原連 のやり方に口を出す資格はないが、参加者の中から協力者をもっと募ったらどうか。たとえば参加者にアンケートを配り、協力できることに○印をつけてもらう。あるいは、意見や提案などを書いてもらう。そんなこともやったらどうかと思う。
原発問題に関する国民の意識や対応をみると、たとえば町内会や自治会では原発の話をしないというところが圧倒的に多い。再稼働の動きにいくら文句をいっても変わらない、脱原発行動をやっても再稼働の動きは止められない、とあきらめている人も多い。それを具体的にどうするかが大事だ。そのためには、できるだけ多くの人が知恵や力をだしあうというしくみをつくることも必要だと思う。
東京電力は、高濃度の放射能汚染水をいまも海洋に垂れ流している。マスコミは、それを大きく報じない。それが不思議でならない。私は3・11以降、魚は食べないようにしている。政府の発表は信用できないからだ。政府の発表やマスコミ報道は疑ってみることが必要だと思う。
ようするに、自分の頭で考えるということだ。そのためには、官邸前行動やさまざまな集会、講演会などに参加することが必要である。福島原発事故の実態は現地にいかなければわからない。しかし、現地に行くのは簡単ではない。立ち入り禁止になっている区域もある。でも、官邸前行動に参加すれば、福島の人たちの話を聞くことができる。マスコミが報じないような放射能汚染や被曝の実態もわかる。だから、私はこの行動に参加している。今後も再稼働反対の声を上げつづけたい。
あきらめたらダメだ!
大西信義さん
福島第一原発事故のあと、なんとかしなれば、と思った。だが、仕事に追われていたため運動には参加できなかった。 2012年6月、経産省前のテント村に行った。福島から横浜に避難している人の話を聞き、ショックを受けた。毎週金曜日に官邸前で行動していることも教えられた。そこで、官邸前行動に参加してみた。参加者がすごく多かった。6月29日は20万人が参加した。「これだ!」と思った。以来、官邸前行動に毎回参加している。
最初は不安だった。私はどの団体にも所属していないからだ。でも、参加者と話をするうちに、個人として自発的に参加している人がすごく多いということがわかった。遠くから1回8000円の交通費をかけて毎回やってくる人もいる。茨城から来る人もいる。そんな人と話をしているうちに、自分もがんばらなければ、と思った。
官邸前に参加したくても、いろいろな事情で参加できない人がたくさんいる。また、参加しても効果がなかなかみえない。逆に、安倍政権のもとで再稼働の動きが強まっている。そういうことであきらめている人も多い。でも、あきらめたらダメだ。多くの人があきらめないで行動をつづけていることを示す。それが大事ではないか。
私は官邸前行動のやり方に共鳴している。政党色をださない。団体旗を掲げるのは遠慮してもらう。非暴力を貫く。そして、主張は脱原発の一点にしぼる。ようするに、だれでも参加しやすくするということだ。反原連はそれを徹底している。これは称賛に値する。
私もなにか手伝いたいと思い、ポスティングに協力している。官邸前行動への参加をよびかけるチラシを地域で各戸に配っている。
以前、『東京新聞』が外国人の声を載せた。この方は、「福島原発事故はまったく収束していないのに、なぜ再稼働を進めようとするのか。それが理解できない」と述べていた。まったくそのとおりである。
いまは大事な時期である。官邸前行動に一人でも二人でも多く参加してもらう。そういう働きかけを強めることが大事だと思う。私は、体力のつづくかぎり官邸前行動に毎回参加する。また、ポスティングもつづけたい。
「原発稼働ゼロ551日」のプラカードを掲げて
コールする山崎展さん=2015年3月20日
プラカードを毎回作り替える鈴木賢一さん。鈴木さんのユニークな
プラカードは官邸前行動の名物のひとつになっている
大西信義さん
官邸前で原発ゼロを訴える=2015年4月24日
★関連ページ
- 脱原発社会を実現するために(富山洋子、2015/4)
- 怒りを権力に知らせよう〜元宇宙飛行士・秋山豊寛さんのスピーチ(2015/3/8)
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