火山噴火影響想定のズサンさをつく

〜大間原発訴訟 第9回口頭弁論〜







 函館市が大間原発の建設差し止めを求めた訴訟(大間原発訴訟)の第9回口頭弁論が2016年7月14日、東京地裁の103号法廷(大法廷)でひらかれました。80人の傍聴定員にたいし、95人が傍聴券を求めて並びました。
 この日の口頭弁論では、火山噴火による原発事故の危険性と、それを事業者(電源開発)が過小評価していることを原告訴訟代理人(弁護団)が意見陳述しました。
 弁護団は映像を使ってこんなことを陳述しました。
  • 電源開発(株)による大間原発の設置変更許可申請は火山噴火の影響想定に誤りがあり、函館市民に重大な被害をおよぼす具体的危険性が存在する。
  • 大間原発のほぼ真北26kmほどの距離に銭(ぜに)亀(がめ)カルデラがある。電源開発はこのカルデラを火山事象の検討対象から外している。
     銭亀カルデラは約4万5000年〜約3万3000年前に噴火を起こした海底火山である。その噴出量は28km3とされている。これは、記憶に新しい1991年のピナツボ大噴火の3倍近い膨大な噴出量となる。この銭亀カルデラ噴火による降下火砕物の堆積層厚はきわめて多い。銭亀火山の東北東方向約30km以遠においても100cmの層厚が確認されている。
  • 電源開発が想定している火山や噴火規模を前提としても、大間原発敷地内における降下火砕物の層厚が過少に評価されている。機器などに与える影響についてもきわめて過少に設定されている。
  • 火山噴火による降下火砕物の層厚は風の影響を強く受ける。そのため、ほかの原発においては、風向や風力などを考慮したうえで原発に積もる降下火山灰層厚の想定をおこっている。ところが大間原発においては、風向や風力のばらつきをまったく考慮することなく、素朴に最大層厚を30cmと想定している。万が一の噴火を予測するばあいは、風向や風力にはきびしい条件を設定した数値シミュレーションをおこなう必要がある。これすらなされていない大間原発の評価はあまりにもズサンといわざるをえない。
 口頭弁論のあと、参議院議員会館で報告集会がひらかれました。次回の口頭弁論は10月18日(火)午後3時です。







函館市が提訴した大間原発訴訟の第9回口頭弁論報告集会
=2016年7月14日、参議院議員会館(全国自然保護連合撮影)





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