登山者も立ち上がった

〜「リニアで南アルプスを壊さないで!登山者大集合」に130人〜







 「リニアで南アルプスを壊さないで!登山者大集合」と銘打った集会が2016年7月14日、モンベル御徒町店4階サロンでひらかれました。主催は「リニア新幹線を考える登山者の会」です。参加者は会場満杯の130人。大盛況でした。
 山岳ガイドをしている山田哲哉さんは主催者あいさつでこうのべました。
     「南アルプスは標高3000m級の山が林立している。日本で2番目と3番目に高い山もある。その土手っ腹に穴をあけてリニアを通すという。東京と名古屋を40分で行き来することに、巨額の金をかけて重厚な南アルプスの自然を壊すだけのメリットがあるのか。私たちは“リニアで南アルプスを壊すな”の一点でリニア中央新幹線に反対する運動をすすめていきたい」
 このあと、岩崎元郎さん(無名山塾、登山ガイド)、服部文祥さん(作家、サバイバル登山家)、服部隆さん(南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡共同代表)、宗像充さん(登山家、ジャーナリスト)によるトークです。リニアが南アルプスを貫通することの問題点や登山者の思いなどについて語り合いました。
 全国自然保護連合の事務局をつとめている大西将之さん(登山者)も会場から発言しました。大西さんはこう述べました。
     「服部文祥さんは登山者がリニア新幹線に反対することについての矛盾や悩みを話された。自然保護運動をやると、“あなたは車に乗らないのか?”というような話が必ずでてくる。それはしかたのないことだ。自分にできることをやるということが必要だと思う。山の自然破壊にたいして登山者が一堂に会するということはあまりなかった。南アルプスにスーパー林道を通すという計画がもちあがったときも、山登りの好きな人が反対集会を開くことはしなかった。そういう意味できょうの集会はたいへん重要だ。リニアに反対することを精力的にやっていきたい」
 率直な意見が活発にかわされ、とても内容の濃い集会となりました。
 登山者のアピール「リニアで南アルプスを壊さないで」の賛同を大きく広げていくことや、リニア新幹線を考える登山者の会が作成したリーフレット「リニア新幹線で南アルプスに穴をあけて大丈夫なの?」を普及することなどを確認しました。




アピール文




リニアで南アルプスを壊さないで

登山者によるアピール・賛同のお願い


「リニアで南アルプスを壊さないで」登山者アピール実行委員会は下記アピールへの賛同を募集しています。


アピール文
 私たちは南アルプスを愛する登山者です。
 13の3000mのピークが連なる南アルプスは、日本を代表する山脈です。その重厚さと山深さゆえに、自立した登山者を育んできました。南アルプスを経て、今も多くの登山者がより高く遠い峰々をめざしています。山脈南部は道路や送電線など横断する人工物のない、国内でも希少な地域です。その豊かな自然を享受してきたのは、私たち登山者です。
 JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線は、その南アルプスを東西に貫きます。人命を危険にさらす難工事は、同時に動植物の生息環境をも危険にさらします。トンネル建設で大井川をはじめとした周辺河川が干上がり、排出される膨大な残土で谷は埋まり、赤石岳を望む美しい景観は、橋梁や鉄塔・送電線で台無しになります。
 10年以上の工事で、ふもとの村々や登山口は一大工事プラントに変貌します。工事で人のつながりや生活環境が壊され、自然を活かした地域づくりが損なわれます。工事車両の通過のために、道路の大幅な改修が行なわれ、新たなトンネルが掘られます。
 排出土は河川敷を埋めて、下流域の住民生活を危険にさらし、環境汚染を招きかねません。しかも工事はいつ終わるともわかりません。変わり果てた南アルプスをめざして、私たちは登山をするのでしょうか。
 片道1時間で東京と大阪が行き来できることと、南アルプスの価値は引き換えにできません。これ以上の速さと開発はたくさんです。
 私たちは、リニア中央新幹線に関する、すべての工事の即時中止を求めます。この手つかずの自然を、私たち登山者は後の世代に引き継ぐ責任があります。



    ■呼びかけ人
    猪熊隆之(ヤマテン、気象予報士)/岩崎元郎(無名山塾、登山ガイド)/大島康弘(日本山岳会静岡支部長)/掛川義孝(聖平小屋、登山ガイド)/斉藤一男(日本山岳協会元会長)/志水哲也(写真家、山岳ガイド)/白鳥勝治(清水山岳会、日本山岳会静岡支部自然保護委員)/瀬畑雄三(渓の翁、源流釣り師)/高桑信一(作家)/竹本幸造(静岡県勤労者山岳連盟理事長)/田中裕之(ぶなの会代表)/寺沢玲子(同人パハール)/成瀬陽一(海外溯行同人、渓谷探検家)/西本武志(日本勤労者山岳連盟会長)/橋本利治(山岳会登研代表)/服部隆(南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡共同代表)/服部文祥(作家、サバイバル登山家)/前島久美(大鹿の100年先を育む会)/増本亮(クライミングファイト、クライマー)/松永義夫(静岡市山岳連盟会長)/馬目弘仁(信州大学学士山岳会、クライマー)/三宅岳(写真家)/山田哲哉(風の谷、リニア新幹線を考える登山者の会)/吉木真一(金峰山小屋主人)

    ■賛同される方は「リニアで南アルプスを壊さないで」からへ

    ■「リニアで南アルプスを壊さないで」登山者アピール実行委員会
     〒146−0082 東京都大田区池上5−7−5(治療院「結」気付)
     TEL/FAX:03-3752-4717

    「リニア新幹線を考える登山者の会」(事務局)のブログ








超満員となった「リニアで南アルプスを壊さないで! 登山者大集合」



リニア中央新幹線の南アルプス貫通についてトークする人たち。
左から岩崎元郎さん、服部文祥さん、服部隆さん、宗像充さん





★関連ページ

このページの頭に戻ります
前ページに戻ります

[トップページ]  [全国自然保護連合とは]  [加盟団体一覧]  [報告・主張]  [リンク]  [決議・意見書]  [出版物]  [自然通信]