一刻も早く被害者救済を
〜風力発電問題の院内集会〜
「風力発電の諸問題」と題した集会が(2013年)5月24日、参議院議員会館で開かれました。主催は「風車問題伊豆ネットワーク」です。
■健康被害に苦しむ住民
最初にフリーライターの永尾俊彦さんが「和歌山県由良町の風車被害の報告」というテーマで講演しました。永尾さんは、由良町の住民が大型風車の低周波音で苦しんでいる実態を話しました。
由良町で風車を建設・運営しているのは、大阪ガスの子会社「ガスアンドパワー」(GP社)です。健康被害というのは頭痛、不眠、イライラ、耳鳴り、血圧上昇などです。
ところが、行政(由良町)は健康被害に冷淡です。低周波音の環境基準がないことを口実にし、実態調査もしません。畑中雅央町長は昨年6月の町議会で、「病は気から」ということを平然と述べたそうです。
そのウラには「エコ利権」があります。由良町に入る風力発電所の固定資産税は、17年間で3億5600万円とのことです。発電した電気は固定価格買取制度で高く買い取ってもらえます。
■被害者は孤立し、絶望感をいだきがち
永尾さんは、被害者が苦しみ続ける理由としてこんな点をあげました。
- 助けてくれる医師、科学者、弁護士、政治家が非常に少ない。
- メディアも大きく報道しない。
- 脱原発派にも理解が広がっていない。
- 被害者同士の連携も広がっていない。
風車は全国各地で増え続けています。全国の風車数は、2001年度の43基から2011年度は1870基と、10年間で4.3倍です。
永尾さんは静岡県の東伊豆町、南伊豆町、愛知県田原市、愛媛県伊方町などの風車問題を取材しました。住民から、「血圧が上がった」「耳奥が痛い」「吐き気がする」など、共通の被害を聞いたそうです。
■風力発電はもはや公害である
最後にこう述べました。
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「風力発電は自然破壊もひきおこしている。風車の多くが山の尾根筋に建設されているからだ。生態系への影響や、鳥が羽根にぶつかるバードストライクも深刻だ」
「景観破壊もひどい。たとえば富士山に風車を建てたらどうなるのか。日本が誇る風景は壊されるはずだ。南伊豆や東伊豆の美しい山に大型風車が建設されている。遠くからみると、ドラえもんのタケコプターが頭に突き刺さっているような、ぶざまな光景になっている」
「風力発電は二酸化炭素の排出防止に役立つというのが大義名分だった。しかし、風力発電は風まかせなので、バックアップ用として火力発電が不可欠となる。風力発電は二酸化炭素の削減につながっていない」
「何はともあれ、風力発電はもはや公害である。一刻も早い被害者救済が求められている」
講演のあとは、由良町(和歌山県)や南伊豆町(静岡県)、北海道の方などが風車問題の実態を報告しました。
「風力発電の諸問題」と題した院内集会
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