千葉県自然保護連合
■活動の概要
当連合は、千葉県の豊かな自然と住みよい環境を守り育てることを目的とし、1971年に発足した。
千葉県は首都東京に隣接し、常に開発の圧力の強い土地柄である。現在も、首都圏中央連絡自動車道、東京外郭環状道路、第二東京湾岸道路などの大型開発計画が目白押しで、これらによる環境破壊が危惧されている。産廃投棄、残土埋め立て、大気と水の汚染、干潟・浅瀬の人工改変、自然海岸のコンクリート構造物化、里山・谷津田の乱開発なども深刻である。
こうした問題を政治家や行政にまかせたままで千葉の自然や環境は守られるのか? そして、生き生きと安心して暮らせる千葉県が実現できるのか? 当連合は、それを心配して集まった個人と団体から成り立っている。
私たちは、千葉県の豊かな自然や開発行政、汚染の問題などを学習しつつ、21世紀にふさわしい環境を実現するために行動している。また、グローバルな視点も念頭において活動している。
■現在の主なとりくみ
(1)東京湾三番瀬の保全
千葉県はいま、東京湾奥部に残る貴重な干潟・浅瀬「三番瀬(さんばんぜ)」の人工改変をめざしている。浦安寄りに位置する猫実川(ねこざね)河口域に土砂を投入し、人工干潟(=人工砂浜)をつくろうとしているのである。その真の目的は、そこに第二東京湾岸道路(高速有料道路)を通すことである。
しかし、この海域は三番瀬の中で最も生物相が豊かである。魚類の産卵場や稚魚の生育場でもあり、東京湾漁業にとって大切な“いのちのゆりかご”となっている。したがって、ここをつぶしたら、三番瀬や東京湾は大打撃を受ける。そのため、当連合は「千葉の干潟を守る会」「三番瀬を守る会」「市川三番瀬を守る会」「三番瀬を守る署名ネットワーク」「千葉県野鳥の会」などと連携し、三番瀬の保全運動を進めている。
(2)九十九里浜の自然と環境を守るために
九十九里浜のコンクリート製人工岬「ヘッドランド」も大きな焦点となっている。
ヘッドランドは、県が1988年から建設を進めている。九十九里浜で全22基、そのうち一宮海岸(南九十九里浜)で10基を建設中である。建設の目的は浸食対策である。ところが、この工事は浸食を加速させている。そればかりか、九十九里浜の景観や自然環境をメチャクチャに破壊しつつある。
九十九里浜は日本を代表する砂浜の一つである。「日本の白砂青松100選」や「日本の渚100選」にも選ばれている。そういうすぐれた景観や自然環境がヘッドランドによって台無しにされつつある。
そこで2010年2月、サーファーたちが「一宮の海岸環境を考える会」を立ち上げた。ヘッドランド工事の一時中止と見直しを求める署名をわずか2か月で約4万4000筆集め、県知事などに提出した。その結果、地元の一宮町が官民協議会「一宮の魅力ある海岸づくり会議」を同年6月に発足させた。会議には住民やサーファーの代表のほかに専門家が加わり、ヘッドランド工事の見直しや「魅力ある海岸づくり」などを議論している。
当連合は、「一宮の海岸環境を考える会」などと連携し、九十九里浜の自然環境をこれ以上破壊させないため、人工構造物によらない浸食対策などを提起し、県交渉などを進めている。
(2011年9月)
小櫃川源流域に位置する七里川渓谷。追原ダムが計画されていたが、
さまざまな団体が結集する「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」
の運動により、ダム計画は2000年に中止になった。
三番瀬は、猫実川河口域の保全と三番瀬のラムサール条約登録が焦点になっている。
南九十九里浜(一宮海岸)で10基建設中のコンクリート製人工岬
「ヘッドランド」。完成した場所では浸食が激しくなっている。
建設中のヘッドランド
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