第38回東北自然保護の集いに参加して


連峰スカイライン反対連合 大西将之





 (2017年)9月2、3日、秋田県阿仁の打当(うっとう)温泉で「第38回東北自然保護の集い」が開催された。私は直接的に東北の運動にかかわったわけではないが、“森林・林道”の問題にかかわることで東北の方々(白神山地の奥村清明さんなど)との出会いもあった。

 東北と多少かかわるようになったのは大規模林道問題に出会ったことからだろう。大規模林道による自然破壊に抗し、北海道・山形・福島などで反対の機運が生じた。そして1976年、札幌で開催された第6回全国自然保護大会において「大規模林業圏開発反対全国会議」が結成された。翌年、山形県の朝日鉱泉で開催された反対集会にも参加した。だが、当方も南アルプス・スーパー林道や奥秩父の林道問題にとりくんでおり、力量不足で継続・発展させることはできなかった。

 この閉塞状態を打破したのが、山形の「葉山の自然を守る会」だった。会の活動、とくに「まつろわぬ民」を掲げ、中心となって活動された原敬一さん(今回お会いできなかったのは残念だったが)からは多くのことを学んだ。

 白神山地の青秋林道に端を発した反対運動は、青森・秋田両県の運動を中心とし、林道の中止だけでなく林野庁の保護林、環境庁の保全地域指定を勝ちとった。だが私見では、その後の「世界遺産」は余計ではなかったかと思う。林野庁の“入山禁止”については異論もまだ残っているようだが、コア地域には自主的に入山を遠慮する、という姿勢でよいのではないかと思う。

 入山禁止区域は尾瀬の奥などにもあるが、日本の現状を考えると禁止区域はもっと増やしてもよい。ただ基本的には、交通を不便にすれば入る人はぐんと少なくなるので、車道を止めるのがいちばんと思う。

 東北自然保護の集いの今回のテーマは「野生動物との共生を考える」であった。講演・報告も、それに関する興味深いものが多かった。「オオカミの復活導入」については、オオカミについての理解がまだ共通のものになっていないように思える。各地の奥山での動植物はどうなっているのか、ということももう少し明確にしたい。

 福島からは放射能の影響について報告があった。これは当分の間継続して調査が必要だろう。以前、労山(日本勤労者山岳連盟)が「放射線と登山道」というパンフを発行した。東北や近県の山の汚染がどのように続いているのか、というのは山好きにとっては知りたいところだ。山では「除染」なんてできっこないのだから。

 もう一つ欲を言わせてもらえれば、以前に林道・拡大造林が大きな問題になった。それらが現在どのようになっているのか、追跡した報告もほしい。

 いずれにせよ、東北の方々のねばりづよく地道な運動には力づけられる。「東北自然保護の集い」が38回という年月を重ねてこられたのもみなさんの努力の賜物だろう。今後の発展を願って、部外者からの欲ばりなお願いも記してみた。




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