■「自然と環境を守る全国交流会」参加団体


環瀬戸内海会議









■活動の概要

 当会は1990年6月、バブル経済の真っただ中にあって、リゾート法を引き金とした瀬戸内地方のゴルフ場、リゾート・ブームによる乱開発に歯止めをかけようと、沿岸11府県の住民団体・市民団体が集まって「瀬戸内海を毒壷にするな」を合言葉に結成されたネットワークである。
 結成以来、27ヶ所で立木トラスト運動を展開し、24のゴルフ場計画をストップさせてきた。ゴルフ場ブームは去った後、振り返ると私たちの活動はほんの少し破壊を食い止めたに過ぎず、瀬戸内海の環境を棄損する多くの人為的要因に気付かされた。その一つが香川県豊島(てしま)の産業廃棄物不法投棄であった。また、ゴルフ場計画用地が産廃処分場として狙われてもいた。
 瀬戸内海の環境に負荷をもたらすものとして、海砂採取や海面埋め立て、それと表裏をなす廃棄物処分場建設と廃棄物の持ち込み、原子力発電所建設やダム建設等の問題にとりくみ、瀬戸内海のかけがえのない自然を育み、豊かな自然を後世に伝えるため、瀬戸内圏の乱開発をストップさせ、循環型社会への転換を目指して、市民活動を行ってきた。


■現在の主な取り組み

1.瀬戸内法改正への取り組み

図 瀬戸内海埋立面積の推移


〔注〕埋立免許面積とその累計(左目盛)は環境省、埋立て面積
とその累計(右目盛)は国土地理院市町村別面積調べによる


 図に見るように、瀬戸内海の埋め立ては全く止まっていない。豊島との出会いを契機として、廃棄物問題や海砂採取、そして埋め立てが瀬戸内海の環境を棄損する要因と考え、以来、我が国最初の海の環境法=瀬戸内海環境保全特別措置法(以下、瀬戸内法)が、瀬戸内海の環境保全に果たした役割を検証してきた。明らかになったのは、端的にいうと海砂を骨材として海面を仕切るコンクリート護岸を構築し産廃で埋め立て、魚介類の産卵・生育・棲息の場=藻場・干潟を減らす構図である。
 瀬戸内法第3条には、「……瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民が等しく享受し、後代の国民に継承すべきものである……」と謳(うた))われているが、その法的実効力は「ザル法」と言われて久しい。法が目指した水質汚濁物質の総量規制も埋め立ての抑制も全く効果を果たさず、法成立後も埋め立ては進行し、法成立以降の1975年〜95年の20年間だけで13,000haもの浅海域が埋め立てられた。その大半は干潟・藻場であり自然海岸であった。
 皮肉にも、法成立はラムサール条約成立と同時期ながら、法には生態系の視点が欠落し、干潟や藻場の重要性を顧みられることはなかった。
 そのため、私たちは素人でも気軽に参加できる手法で足元の海を見ようと、2002年前から毎年、瀬戸内沿岸50〜100ヶ所に及ぶ海岸生物調査を継続し、今年11年で10年目を迎え継続中である。
 法が真に規制力を発揮するものであったなら、今日の上関(かみのせき)原発計画も福山鞆(とも)の浦埋立て架橋計画も、さらには大分県による佐伯市大入島(おおにゅうじま)での佐伯港のしゅんせつ土砂を埋め立てる「廃棄物埋立護岸事業」もなかったのではないかと思うと残念でたまらない。
 現在、埋め立て、廃棄物持ち込み、海砂利採取の禁止し、さらに3.11福島原発震災を教訓として、瀬戸内海での原発立地・建設を禁止し、既存原発運転の停止を明記するよう瀬戸内法改正を求め、国会議員へのロビー活動など活動を進めている。

2.各地の住民運動への支援

 自然環境の毀損(きそん)、生態系のかく乱はすべて、人間の手によって引き起こされている。時には環境の棄損は、地域住民の生活環境をも脅かす。その地域の住民運動団体の思いに寄り添って支援を続けていく。  喫緊の問題としては、山口県の上関原発計画。中国電力は福島原発震災を受けても計画の見直しすら口にせず、続行を言い張っており、計画撤回を祝島(いわいしま)島民とともにかちとっていきたい。  香川県小豆島の内海(うちのみ)ダム再開発計画、広島県福山市の鞆の浦港埋立て架橋計画、兵庫県豊岡市の行政事務組合によるゴミ・汚泥焼却施設建設問題、愛媛県宇和島市のゴミ焼却施設計画、大分県佐伯市大入島の埋立護岸事業計画など、不要不急で無駄な、そして時代に逆行する公共事業に反対して闘う各地住民運動への支援を続けている。  過去に産廃処分の地歴を隠ぺいして造成分譲された岡山市の小鳥が丘団地土壌汚染問題、今後各地に起こりうる土壌汚染問題の先駆けになりうる問題として支援している。  その他にも、岡山市でのゴルフ場計画跡地の産廃処分場計画への住民の反対運動など、ゆるがせにできない問題に支援を進めている。
(2011年9月)




強行される新内海ダム建設工事=2011月7月。寒霞渓の自然を
守る連合会代表・内海ダム関係訴訟原告団長・山西克明さん撮影 






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