■本の紹介
広瀬隆著『原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論』
集英社新書/2012年11月刊/760円
本書の目的は、「原発がなければ電力不足が起こる」はウソという事実を知らせることである。日本では、自然エネルギーの普及を待たずに原発を即時に全廃できる新エネルギー技術がすでに完全に用意されている、と説く。
東日本大震災後、自家発電機とバッテリーが企業間で急速に広がった。企業の「電力会社離れ」が進んでいるのだ。また、ガスを利用して電力を使わない技術も広く普及し、夏の電力消費量の削減に大きく寄与している。
日本全体の総発電量(総消費量)のうち、すでに2割近くは自家発電によって供給・消費されているという。その結果、2012年の夏は猛暑だったにもかかわらず、原発ゼロでも電力は余力があった。これは関西電力管内も同じであり、大飯原発の再稼働は無用であった。
本書は、自然エネルギーに過度に期待する風潮を戒めている。こんなふうにである。
- 日本における自然エネルギーの普及はやがて壁にぶちあたる。自然エネルギー一辺倒では原発を止めることができない。
- 自然エネルギーの利用は自然界を破壊するおそれもある。たとえば風力発電は自然破壊や健康被害をもたらすことが多い。平坦なドイツと、四周を海に囲まれた山岳国家である日本を同じに考えてはいけない。自然を破壊しないですむ自然エネルギーの普及を求めてゆく方法が正しいことになる。
- “自然破壊をせずとも原発は無用”が証明されている。前述のように、新エネルギー技術がすでに日本では用意されていて、電力消費量の削減に大きく寄与している。こうした新エネルギー技術を重視すべきである。
(中山敏則)
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