“環境破壊ストップ”を活発に議論

〜自然と環境を守る全国交流集会〜







 「海、山、いのち それともお金?」と題した「自然と環境を守る全国交流会」が2011年9月10日、慶応大学三田キャンパスで開かれました。主催は、全国自然保護連合など27団体で構成する実行委員会です。100人が参加しました。

 午前は、横田一さん(フリージャーナリスト)が「自然を破壊する公共事業の裏側」、伴英幸さん(原子力資料情報室)が「脱原発とエネルギー政策の転換」というテーマで講演しました。

 午後はパネルディスカッションです。

■「どうやって環境破壊を止めさせるか」を活発に議論

 横田さんは、有力政治家(族議員)がからむ地域や選挙区には環境破壊を伴うムダな公共工事が多いとし、公共事業が続く背景に、利権獲得を最優先とする政財官の癒着があることを、豊富な取材にもとづいて話してくれました。例にあげたのは、普天間飛行場移設、泡瀬干潟埋め立て、八ッ場ダム、九州新幹線「荒船小屋駅」、佐世保道路(長崎)などです。

 伴さんは、福島第一原発事故の背景にあるものとして、@広域災害になる事故は起こらないという防災対策の不備があった、A原発に対する批判を許さないムラ(原子力ムラ)の体質があった、B安全研究に対する予算は非常に少ない──の3点をあげました。そして、「人間は放射能とは共存できない」とし、省エネルギー・再生可能エネルギーを中心とした社会への転換が強く求められている、と話しました。

 パネルディスカッションでは、大マスコミ(テレビや大新聞)や政党の姿勢、福島原発事故を防げなかった理由、環境保護運動の課題などをめぐって、活発に議論が交わされました。こんな意見です。

     「54基もの原発が建設されたのは、大量のメディアを動員した『安全神話』によるものだ。また、文科省やエネルギー庁などが、学校現場で原発推進の教育をしてきたことは大問題」(橋本さん)
     「原発事故にしても八ッ場ダムにしても、都会が地方に犠牲を強いている。そのことに、都会の人たちは無知だし無関心だ」(渡辺さん)
     「インターネットをうまく利用するなどして、私たち自身で情報を発信する工夫をすべき」(澤井さん)
     「沖縄の奥間川でダム建設がもちあがったさい、高校の先生たちが中心になってダム建設予定地を買い取った。また、国や県と五十数回話し合いを重ねた結果、ダム建設は中止になった」(水野さん)
     「この国がつぶれるとすれば、原発か国家財政の破綻だ」(川村さん)。

 講演内容やパネルディスカッションをめぐる質疑応答では、原発にかんするものが多く出されました。最後に9本の決議文を採択しました。集会後の懇親会は34人が参加し、交流を深めました。

 採択された決議文は次の9本です。
  • エネルギー政策の転換と原発の廃炉等を求める決議
  • リニア中央新幹線計画の中止を求める決議
  • バイオ施設の法・社会的規制の強化を求める決議
  • セシウム汚染汚泥の水源地への埋め立て即時中止を求める決議
  • 東京湾三番瀬の人工改変に反対し、真の環境改善策とラムサール条約登録を求める決議
  • アサリを絶滅に追いやる設楽ダム建設計画の即刻中止を求める決議
  • 新内海ダム計画の中止を求める決議
  • 「瀬戸内法」の抜本的改正を求める決議
  • 泡瀬干潟・浅海域の埋立工事の中止を求める決議




横田一さん(フリージャーナリスト)の話に聞き入る参加者



パネルディスカッション



★関連ページ

このページの頭にもどります
前ページにもどります

[トップページ]  [全国自然保護連合とは]  [加盟団体一覧]  [報告・主張]  [リンク]  [決議・意見書]  [出版物]  [自然通信]