中池見湿地を貫く北陸新幹線計画に関する要請書







 全国自然保護連合は2012年12月1日、「ラムサール条約登録湿地『中池見湿地』を通過する予定の北陸新幹線建設計画に関する要請書」を環境大臣、国土交通大臣、福井県知事、敦賀市長に提出しました。要請書提出は、同日開催の全国自然保護連合総会で決まったものです。



全国自然保護連合の要請書



2012年12月1日

 環境大臣   長浜博行 様
 国土交通大臣 羽田雄一郎 様
 福井県知事  西川一誠 様
 敦賀市長   河瀬一治 様


  ラムサール条約登録湿地「中池見湿地」を通過する
  予定の北陸新幹線建設計画に関する要請書

 福井県敦賀市の中池見湿地は今年7月、国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約の登録湿地に認定されました。ところがその直後、条約登録区域の中に北陸新幹線のトンネルを建設することが判明しました。これはとんでもないことです。
 中池見湿地は、生態系や生物多様性が非常に豊かな湿地です。約3000種の動植物が生息し、トンボ類だけで70種を数えます。湿地の中央部には世界的にも珍しい深さ40メートルの泥炭層が堆積していて、気候変動や植生変化を10万年以上さかのぼって分析することができるとされています。
 中池見湿地は深山、天筒山、中山の3つの山に囲まれています。湿地の水は雨水と山からの湧き水のみであり、流れ込む川は一本もありません。トンネルが建設されるのは、湿地から約150メートル東の深山です。深山は、湿地をとりまく3つの山のうち、もっとも大きな山です。湿地への水の供給量もいちばん多いとされています。そのため、集水域としてラムサール条約登録区域に含められているのです。そのような山にトンネルを掘れば、水脈が切断され、湿地に重大な影響を及ぼします。
 そもそも、ラムサール条約の登録区域内に新幹線を建設すること自体が国際的な信用を失墜させる行為です。また、国内各地のラムサール条約登録湿地にも大きな影響を与えかねません。
 つきましては、ルート変更はもちろんのこと、北陸新幹線計画そのものの中止を含む再検討を要請します。








ラムサール条約に登録された中池見湿地



中池見湿地



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