沖縄県名護市辺野古沖のボーリング作業を強引に進め、
ジュゴンの生息地を破壊する那覇防衛施設局に厳重に抗議し、
直ちに作業の中止と当海域での米軍飛行場建設計画の白紙撤回を
要求する緊急アピール
北限のジュゴンを見守る会 代表 鈴木雅子
みなさま
日本で唯一のジュゴンの繁殖地と推定されている沖縄県名護市東海岸辺野古沖において、那覇防衛施設局は現在、昼夜を徹してその海底のボーリング調査を強行しようとしています。
米軍の再編問題や当海域での飛行場建設の技術的な問題で米国側から辺野古の新基地建設計画の見直しが論議されている中、事業者である那覇防衛施設局は環境アセスメント調査以前にもかかわらず、反対する住民を力づくで排除し何としても海底に穴をあけようとする構えです。
海上に建てられた金属の足場には、危険な金網が二重に張り巡らされ、掘削に反対する人々が立ち入れないようにしていますが、人々は網をかいくぐり、よじ登り、渾身の力をふるってこの海を守ろうとしています。業者は金網から市民を引き剥がし怪我人が出ているばかりでなく、風や波で剥がれた金網を作業船で乱暴に引きずっているために、海底に損傷を与えています。
- 天然記念物ジュゴンの生息地として認識されたこの海域で作業をするにあたって、那覇防衛施設局のボーリング調査の作業計画には「ジュゴンへの環境配慮」として、作業の時間帯を「日の出1時間程度後、日没1時間程度前までの間で設定し」、作業は「昼間」に行うと明記されているにも拘らず、実質的な掘削行為や弾性波調査に係わる以外の作業は含まれないと主張、夜間にも相当数の船を往来させ24時間ぶっ通しの作業を強行し続けています。
- 那覇防衛施設局のなりふり構わない作業の強行のため、ボーリングのための足場となるやぐらの周辺には破損した金属片や金網が散乱し、無理矢理設置を強行した掘削機のエンジンからはオイルが漏れて海面を汚染しています。昼夜を問わない作業船の行き来や、海底の破損、海面の汚染等々は静かな時間帯にリーフ内の海草藻場にやって来て採食するジュゴンにとって決定的な悪影響が心配されます。
- 海の安全を守ると言う海上保安庁は、昨年11月に起きた人命に係わる、施設局側の暴力事件に関しても今だ認識不足であるどころか、今年3月に外洋で起きた大型台船の夜間移動に対する抗議行動に対し、非暴力の市民たちを「危険回避」を理由に一時拘束すらしました。
「安全対策」を言うのであれば、むしろ危険な大型台船の違法な航行や、作業船の夜間作業、金属足場と金網の撤去をすべきです。
梅雨に入った海上において、海面に突き出た金属のやぐらは落雷の標的となるだけでなく、張り巡らされた金網で台風などの高波の危険を回避することすら困難で、鳥かごのようなやぐらに座り込む市民のみならず、足場で作業する業者にも命の危険が伴っています。
- 莫大な国民の税金を投じて、国民の生命を危険にさらして誰が見ても貴重な生態系と人々の暮らしを破壊するような計画に対し、小泉首相が発言されているように米国政府及び米国民も、施設局側に雇われた業者や漁民たちさえも疑問に思っています。誰も望まない無駄な公共事業はただちに中止し、これ以上、貴重な生態系と地域住民を傷つける行為は断念すべきです。現場の全ての人々がこの豊かな生態系を活かした生産的な仕事を望んでいます。
私たちは以下、4つの要望をします。
- 那覇防衛施設局の暴挙とも言える行為に対し厳重に抗議し、ただちに作業の中止を要求します。
- 海上保安庁はあくまで海と国民の安全を守るという立場に徹することを厳しく要望します。
- 環境省は自らの仕事の責任においてこの生態系の危機に対し、ただちにその保全に向けて行動することを要請します。
- 内閣府及び防衛庁は国の未来を託す世代のために、今こそ辺野古沖への米軍飛行場建設計画の断念を決断すべきです。
2005年5月5日
子どもの日に願いを込めて
北限のジュゴンを見守る会 一同連絡先 〒237-0063 神奈川県横須賀市追浜東3-18T&F:046-866-1858 携帯:090-8032-2564E-mail: ccf72790@nyc.odn.ne.jp
このページの頭に戻ります
前ページに戻ります
[トップページ] [全国自然保護連合とは] [加盟団体一覧] [報告・主張] [リンク] [決議・意見書] [出版物] [自然通信]