■本の紹介
岩佐茂・高田純著『脱原発と工業文明の岐路』
大月書店/2012年8月刊/2400円
「哲学は3・11をどう受けとめるのか」を問う本だ。
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「今回の巨大地震と巨大津波は工業社会のなかでのわれわれと自然の関係、科学・技術の意味と役割を問い直すことをあらためて迫っている。人間が科学・技術を用いて自然を制御し、支配するという見方(人間中心主義)は近代哲学によって方向づけられ、工業社会において極端な形で強調されるようになったが、それは、人間が科学・技術を制御できることを前提としている。ところが、原発事故はこの前提を揺るがすことになった」
次の指摘には全面的に共鳴である。
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「国が存立する基盤は、国民が安全・安心に生活することができるということ、それを為政者が保障することにある。そのことを3・11はあらためて教えてくれた」
「生活の原点で大切なのは、人間と自然の正常な物質循環である」
「人権を踏みにじるような原発に依存しなくとも、今日、多様な代替エネルギーの可能性があるなかで、なぜ原発に依存する必要があるのであろうか。経済成長のために、原発によって大量のエネルギーを供給する必要があるというのであれば、そのような経済成長のあり方、大量のエネルギー消費を必要とする工業社会のあり方そのものを見直す必要があるのではないか」
(中山敏則)
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