■「自然と環境を守る全国交流会」参加団体


小櫃川の水を守る会









■10人のおばあさんが立ち上がった!

 本会は1988年に結成された。ことの発端は、小櫃川支流・御腹川(おはらがわ)の上流、川谷(かわやつ)に旧竹田商事が産業廃棄物の最終処分場を計画したことである。業者の、金を使ったごり押しや、きれいな沢を埋め尽くすゴミに危機感を持った渡辺みつ前会長(故人)ら地元のおばあさん10人が声を上げた。小櫃川の下流には市原・袖ヶ浦・木更津・君津・富津(ふっつ)5市の水道水の取水場がある。5市の住民が集まり、自分たちの飲料水を守ろうと小櫃川の水を守る会が結成された。


■水道水源保護条例を制定させた!

  ◇守る会が加わった運動の成果
  • 小櫃川の水道水源保護条例の制定(3市)
  • 芋窪(いもくぼ)中間処理施設設置中止
  • 追原(おつぱら)ダム建設計画の撤回
  • 田倉(たくら)安定型最終処分場設置中止(最高裁)
  • 田倉管理型最終処分場計画の撤回
  • 鬼泪山(きなだやま)国有林からの山砂採取計画の中止

◇現在継続中の運動
  • 小櫃川河口・盤洲(ばんず)干潟を守る連絡会として毎年「干潟観察会」を実施。干潟保全の意義を伝えながら、県に「自然保護地域」の指定を要請している。
  • 君津市八重原自治会連絡協議会によるKGM廃棄物最終処分場設置反対運動を支援。

◇建設されてしまった施設でも、調査や監視を続けている
  • 会発祥の地、川谷の現クリーンフォレスト(安定型最終処分場)
  • 漏洩を起こした大塚山処分場(管理型最終処分場)
  • 御腹川水源地域に建設された新井総合施設(管理型最終処分場)
  • 河野牧場への残土埋立


■里山が消え、残土・産廃の山ができる?

 1960年代以降、首都圏の高層建築と東京湾の埋立のため、君津地域の山砂が削られ、代わりに残土や産廃が持ち込まれた。安全な「残土」ならば自分のところで処理すればいいものをわざわざ遠くに運んで「山」と積む。こともあろうに、私たちの水道水の水源地に計画された産業廃棄物最終処分場を退職前日の沼田武知事が認可する。
 私たちは小櫃川・小糸川・畑沢川・烏田川の本流・支流、堰・池などを定期的に調べている。産廃処分場や残土埋立が計画されたらすぐに水質などの調査を行い、事業開始後との比較ができるデータにしたい。また、私たち自身が水を汚さない運動、資源循環とゴミ減量の運動を積極的に提起したい。


■新たな課題

 3月11日の大震災と原発事故後、新たな問題が生じている。小櫃川上流水源地の産廃処分場に放射能汚染汚泥が持ち込まれ、木更津市の山砂採取跡地へがれきの埋立が計画されている。いずれも市民には知らされていない。学習会を持ち、市も巻き込んで実態の解明と対策を県に要求して行く必要がある。また今後も監視を強める必要がある。
 原発事故は、海や農地、人間までを犠牲にして、誰のための「経済発展」なのか、という根源的な問いを突きつけた。50年後、100年後はおろか、今の社会にすら責任を持たない原発の商業主義は、そのまま過剰生産・過剰消費のゴミ社会とそれに引きずられる廃棄物行政にそっくり重なる。私たちはこの震災と事故をきっかけに、原発と廃棄物問題を根本から見直す運動を展開する必要がある。
(2011年9月)








君津市・市宿(いちじゅく)の山砂採取場(佐久間充氏HPより転載)



個人の敷地内に不法投棄された産業廃棄物「平成新山」。見学者や電柱が小さく
見える。遠方は上総アカデミアパークのホテル。(佐久間充氏HPより転載)






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