■「自然と環境を守る全国交流会」参加団体


市川の空気を調べる会









■生い立ち

 市川市は児童の喘息有症率が全国的にも全県的にも極めて高いことから、1992年に地元の高等学校教職員組合有志が中心になり、市民団体の支援を得て、その原因物質と見なされる自動車排気ガスの二酸化窒素(NO2)濃度を天谷式簡易測定カプセルにより測定を始めた。以来、市内全域の測定を毎年続けている。


■活動の概要と目的

 1年に2回、一般市民中心の会員が簡易カプセルにより市内全域を測定し、自宅周辺と共に市内各地域と幹線道路のNO2汚染状況を知って、それを監視するとともに、大気汚染に対する関心を高めることをめざす。

■活動の実際

◇測定に用いるカプセル作成
 各測定の数日前に集まって天谷式改良型簡易カプセルを手作りする。

◇測定
 環境月間の6月と大気汚染が高まる12月の各第1木曜の夕刻に、会員約100名が自宅周辺を中心に市内全域の測定箇所にカプセルを蓋(ふた)を開けて取り付け、翌日の同時刻に回収して蓋をし、測定本部に集める。

◇カプセルで捕集したNO2の定量と大気中濃度の算出
 測定の数日後に一斉に発色液と比色計でNO2の量を求める。さらに後日、カプセル捕集量と大気中濃度との相関式により大気中濃度に変換する。

◇測定結果のまとめと広報
 2回の測定結果を報告書としてまとめ、報告会を開いて会員及び市民に知らせる。報告内容としては、6月度と12月度に分けて、市内地域別の汚染状況を住宅地と沿道地域に分けて示し、幹線道路別の汚染状況も明らかにし、それらの経年変化も示す。これにより、車排ガスによる汚染が自宅周辺及び市内全域と幹線道路にどのように広がり、それがどのように経年変化しているかを知ることができる。

◇その他の広報
 市川市の環境フェア(いちかわ環境フェア)や市民祭りにできるだけ出展し、測定結果の広報と当会の宣伝をしている。また、測定結果を市川市の担当課(環境保全課)に毎年報告し、市川市中央図書館で報告書を閲覧に供している。

◇測定法の原理
 NO2の吸着用試薬を含んだ濾紙を封入した天谷式改良型カプセルを、測定箇所に24時間開放して大気中のNO2を捕集し、このカプセル内にNO2濃度に応じて発色するザルツマン試薬を入れて発色させ、これを比色計で測定して捕集したNO2量を求める。別にカプセルを複数の大気汚染測定局に取り付けて、得られた複数のカプセル捕集量(μg)と測定局大気中濃度(ppm)の組から、両者の相関直線式を求め、この式を用いて捕集したNO2量(μg)を大気中濃度(ppm)に変換する。この相関式の相関係数は常に0.95前後であって、この測定値の信頼性の高さを示している。


■現状と課題

◇大気汚染に関して
 大型車をはじめとして排気ガスの規制が厳しくなり、全般的にNO2による汚染は低減傾向である。しかし、沿道部の汚染は住宅地に比べて顕著に高く、大型道路による汚染の影響は広範囲に及ぶことも明らかになっている。市川市では、平成27年の開通をめざす8車線の東京外郭環状道路が市の真ん中を縦断することになり、すでに既存道路への部分接続地域では汚染の激化がみられる。今後、汚染の監視を強める必要がある。

◇測定面に関して
 会員の少ない地域や個人の事情で測定できなくなった地域は空白や偏りが生じるので、測定協力者の絶えざる補充が必要である。また、会員に若い人が少なく、高齢化も大きな課題となっている。
(2011年9月)




捕集量の測定作業



市川市の環境フェアにて






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