真間山の緑地を守る会
■生い立ち
2001年2月、市川の代表的景勝地で「第一種低層住居専用地域」の真間山(ままさん)に、市川市が事業者にマンションを建てさせるため、「住宅地高度利用地区計画」を導入しようとしていることを知り、都市計画審議会によるこの承認を防ぐため、急きょ市民有志が「真間山の緑地を守る会」を結成した。
審議会は市案への反対多数で異例の継続審議となったが、市の強い推進工作によりその後承認され、開発が始められた。市民有志はこの地区計画は違法と判断し、この手法の波及防止と真間山を守るために、2002年2月に行政不服審査請求を起こし、続いて千葉地裁、東京高裁の行政訴訟と3年半におよぶ司法闘争を行った。
しかし、裁判は「地区計画は行政処分にあらず」として実質審議に入らず、訴えは却下された。私たちは上告は困難と判断し、2005年7月にこの裁判の継続を断念した。そして、会員アンケート等をもとに、以後、開発の激しい周辺緑地の保全のためにさまざまな活動を行ってきた。
■活動の概要と目的
市川市は、首都に隣接した比較的好環境の地として宅地開発の圧力が強く、農地をはじめとして公有地以外の緑地は次々と開発され、消えてゆく状況である。そこで、緑地を守ると共に緑を楽しむための種々な活動を行い、これにより緑地保全と同時に会員や市民の緑地愛好心の充足・高揚をめざすことにしている。
■活動内容
◆無謀な開発に対する監視と市への要求
市川市の北西部には県内最大の国府台風致地区が広がり、市の都市計画でも景観や生態系上保全すべき重要地とされている。しかし、宅地開発の波は残された急傾斜の斜面林にもおよんでいる(2006年、2007年。写真)。当会の抗議に対して市川市は、適法である限り風致地区でも伐採を止めることはできないが、公有地化や協定などによって緑地保全に努めたい、と回答した。
◆真間山の緑地保全と地区計画の監視
市川市がここに地区計画を導入する条件とした緑地保全について、その状況を調査・監視し、必要な要求を行っている。また導入された地区計画は、都市計画法改正で高度開発型の「再開発等促進区」に変更が可能となっているので、「この変更はするな」との要請を行い、市から「変更は考えてない」旨の回答を得ている(2011年)。
◆市川市北西部 水と緑の回廊構想
市北西部の緑地喪失を食い止め、その保全・再生を目指して、生態系の連結を基軸とする「北西部水と緑の回廊構想」を、他の環境団体や大学との協同作業でつくり、市川市に提案した。その基本案が承認されたので(2010年)、具体案づくりに取り組んでいる。
◆散策会
四季にわたって自然に親しむために、「水と緑の回廊構想」のコースなどで、年に数回散策会を催し、会員以外にも呼びかけ、市川の自然を知り楽しんでいる(写真)。
◆行政施策への参画
- 市により2005年に保全された国府台緑地(5.1ha)の管理法を検討するワークショップに参加し(2006年)、公園化ではなく、貴重な自然として保全する方針の決定に貢献した。
- 市川市が緑地保全の条例づくりをめざしてつくった「市川市みどりの懇談会」(2006年)に参加し、条例の素案に当たる「大綱」づくりを行った。しかし、地権者の権利侵害等の問題により、現在、市の作業が止まっており、その推進を促すこととしている。
- 市の緑地保全や都市計画に関わる各種の施策に対して求められるパブコメには、積極的に対応している。
■現状と課題
真間山への地区計画を違法として、一般市民が市川市を相手に3年半にわたって争った司法闘争は、実質審議に入らず敗れはしたが、市の緑地保全の姿勢に一定の影響を与えた可能性はある。その例になるか否かは別として、環境や景観上好ましい事例が生まれている。
- 国府台緑地の保全:市民がかねてからその保全を求めていた国府台4丁目に広がる5.1haの緑地が、市の公有地として保全された(2005年)。
- 真間山の環境保全:前述のように、当地に適用された地区計画を法的には可能な高度開発型の地区計画に移行することを市は文書で否定した(2011年)。
- 建物高さの制限条例:これまで一般住宅地では、道路や北側からの斜線による高さ制限のみであったが、地域別に絶対高さの制限を設けることとなった(現在はパブコメ結果の検討中)。
(2011年9月)
《参考ウェブサイト》
http://www.boso.shizen2.jp/mamasan.htm
市川市のシンボルともなっている真間山(ままさん)の斜面林
斜面林にあった旧木内別邸跡。ここをつぶして
高層マンションを建設する計画がもちあがった
JR市川駅前で「真間山を守れ!」の宣伝
開発許可の取り消しを求めて千葉地裁に提訴
皆伐された斜面林の一部
水と緑の回廊調査
散策会
★関連ページ
- 治水対策の先進事例を学ぶ〜真間山の緑地を守る会が国分川上流散策会(2012/5/28)
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