綾の森(宮崎県)鉄塔工事着工に抗議し、中止を求める決議
綾の森(宮崎県)鉄塔工事着工に抗議し、中止を求める決議
世界的に学術的な価値のある日本最大の照葉樹林綾の森(宮崎県綾町)が、今、危機に陥っている。
8月18日、九州電力による綾の森付近での鉄塔工事が着工されたことはテレビや新聞でも報道されている通りである。
今年開催された世界遺産登録検討候補地会議がきっかけとなり、綾の森の価値が高まりより広い範囲で森を保護していくことの必要性が明らかになってきた。
地元の市民団体が主張する通り、「綾の照葉樹林」は今後の環境省と林野庁が主催した世界自然遺産候補地検討会で、最終選考の3地域には入らなかったものの、「東アジアで唯一まとまって残存ずる照葉観林。核となる部分は原生性が高く、状態もいい」として世界的に重要なことが学術上からも認められ、日本を代表する17の自然遺産候補地のひとつに挙げられた。事実上「次点」と位魔づけられた。なかでも、76番鉄塔建設予定地付近は、復元途上にある照葉樹林として注目される場所であり、コア(中核)地域を守るバッファーゾーン(緩衝地帯)としても大切な場所になっている。
宮崎県綾町に残る照葉樹林は、日本の暖温帯を代表する植生であり、多くの照葉樹林が森林伐採や道路建設などによって消滅・寸断される中で、唯一まとまった面積が保たれている地域である。
しかし、九州電力は、計画を全く変えることなく、指摘のある保護地域を含め、着工を強行し、建設を推し進めようとしている。工事は、18年7月に完成する予定とされている。
この鉄塔問題は、宮碕県木城町の小丸川揚水発電所(諫早干拓工事よりも莫大な費用がかかっている)のための鉄塔であるが、小丸川揚水発電所は、ほとんど使い道がない可能性が高いものである。
従って以下決議する。
- 九州電力が地元住民の対話を絶ち、高圧線工事を強行したことに抗議する。
- 九州電力は、「綾の照葉樹林」を破壊する高圧送電線鉄塔工事を直ちに中止し、小丸川幹線計画を白紙に戻すべきである。
2003年9月6日
全国自然保護連合
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