プライバシーを消滅させ選択の余地を奪う
「ユビキタス」社会を拒否する決議
プライバシーを消滅させ選択の余地を奪う
「ユビキタス」社会を拒否する決議
「IT革命」が頓挫し、次に「ユビキタス」というものが提唱されている。「どこでもコンピュータ」と呼ばれ、日常のあらゆるモノにICタグ=電子荷札(製品情報を記録する極小のICチップ)を埋め込み、無線通信用の超小型アンテナを付け、デー夕をやりとりするというものである。
日本では2003年版「情報通信白書」に「ユビキタス分野で、日本が世界をリードしていく必要がある」とし、総務省は電子荷札「ICタグ」をインターネットに接続する標準技術の開発を行い、2005年度までには実現を目指すとし、8月18日には総務省の「ユビキタスネットワーク時代における電子タグの高度利用に関する調査研究会(産業界と大学教授ら34人で構成)が中間報告書を発表し、その経済波及効果は2010年で最大31兆円になると期待して積極的な取り粗み体制に入っている。
「ユビキタス」はコンピュータ社会の諸問題の解決や利便性、環境問題への対処などを語っているが、日本の技術力を世界に示そうという技術者や国、そして景気回復を願う産業界が徒党を組んで進めているもので、実質上これらはすべて使わせようとするための表面だけの能書きにすぎない。
しかも、この計画は「全員が参加しなければ意味がない」、あるいは「軍を含めばらばらに開発・管理するといったことは不適切である。国家が国策として行うべき事業だ」と提唱者は主張している。
インターネットで個人情報が漏洩する事件は後を絶たず、対策はほとんど効果を挙げていない中で無線LANを使用したり無線で情報がやりとりされると、個人情報はさらに無防備となり脅かされる環境になることば避けられない。
電波の周波数の利用はもはや隙間がなく、あらゆる帯域が利用されており、「ユビキタス社会」はこれを身近にあふれさせることになる。これらの中で生活していくことが安全だという保証はない。
今推進に力を入れている産官学のどこにもネット社会での個人情報漏洩の問題をどう解決していくのかというビジョンは見られず、電磁波の健康影響などへの配慮は皆無である。
このように電波が相手なので誤動作や漏洩が多いうえに軍事色が濃いというこの「ユビキタス」というシステムは私たち全員を否応なしに組み込もうとしているのである。
記
- 私たちは「ユビキタス」社会への強制的参加を拒否する。
- 産官学が合同して市民・消費者の合意のないまま、「ユビキタス」の音頭をとり推し進めていることに抗議し中止を求める。
以上
2003年9月6日
全国自然保護連合
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