全国自然保護連合の決議文


 普天間基地移設・代替施設建設計画の

 白紙撤回を求める決議





  普天間基地移設・代替施設建設計画の白紙撤回を
  求める決議


 2002年7月29日、首相官邸で開催された第9回代替施設協議会は、米軍(海兵隊)普天間飛行場の代替施設として、名護市辺野古沖のりーフ(環礁)上に全長2500メートルの大軍事空港を建設する基本計画を定めた。そして、同計画に基づく空港建設は、埋め立て工法で進められるとされた。

 礁湖と外洋との境をなすりーフ上を中心に海を埋め立てることは、リーフの内側にある瀬の干満によって維持されているデリケートな礁湖の生態系に壊滅的な打撃を与えることは必至である。

 しかもこの辺野古周辺の海域には国際保護動物ジュゴンが生息している。同海域にジュゴンが生息するのは、礁湖にジュゴンの食物であるリュウキュウアマモなどの海草の藻場があるからであり、それが失われれば、すでに50頭以下と推定されている希少な「北限のジュゴン」は、生存の根を絶たれ、絶滅の危機に瀕することは間違いない。

 また、工事中の作業船の頻繁な往来や、建設後の戦闘機などの轟音もジュゴンの生息を脅かす。このようにジュゴンにとって、かろうじて安定した環境を保っている辺野古周辺の海域が、新基地の建設によって、最悪の環境に一変することは、火を見るより明らかである。

 当初、撤去可能で小規模なヘリポート建設であったはずの計画は、「地元の意向を尊重する」と繰り返し言われながら、いつの闇にか、永久使用を前提とする撤去不能な巨大軍事施設計画にすり換えられてしまった。

 私たちは、世界中を憎しみと復讐の連鎖に巻き込むアメリカのブッシュ政権と全く正反対の存在である、穏やかな海生哺乳類ジュゴンの生息を脅かし、沖縄の自然環境と人々の暮らしを破壊しようとするこの新基地建設計画の白紙徹回を求めるものである。

以上決議する

 2002年3月29日


全国自然保護連合




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