全国自然保護連合の決議文


 東部海浜開発計画の白紙撤回と

 泡瀬干潟の保全を求める決議





  東部海浜開発計画の白紙撤回と泡瀬干潟の保全を
  求める決議


 国は昨年12月、ラムサール条約事務局をはじめ、国内外からの保護要請に耳を傾けず、泡瀬干潟の埋め立て工事に強行着手した。泡瀬干潟は沖縄島に残された最後で、最大の干潟であり、南西諸島で最大級の渡り鳥の飛来地である。
 私たちは、この貴重な干潟を浚渫残土の捨て場として埋め立て、リゾート開発する東部海浜開発計画の白紙撤回と、泡瀬干潟の保全を以下の理由により強く求めるものである。

  1.  泡瀬干潟はかつて塩田で栄え、今も人々に豊な海の幸を恵み続けている。
     埋め立てによって近年、激減している干潟は、人々と海の出会いの場であり、沿岸生態系の重要な再生産の場である。
  2.  埋め立て予定地には絶滅危惧種クビレミドロや、希少種ヒメウミヒルモ(トゲウミヒルモ)、トカゲハゼ、ヤマトウシオグモなど希少な生物が多数生息している。
     また、貝、カニ、ゴカイなどの底生生物も210種以上が見つかっており、絶滅の恐れのある生物も25種以上が生息する極めて生物多様性に富んだ干潟である。
  3.  埋め立て予定地は環境省の「日本の重要湿地500」に指定され、沖縄県最大のシギ、チドリ類の越冬地であり、ラムサール条約の登録基準を満たしている。
  4.  埋め立て予定地が、レッドデータブック記載の8種の海草を含む、海草藻湯として極めて貴重な場所であり、絶滅の危機に瀕する海生浦乳類ジュゴンの食物生産にとってなくてはならない環境である。
  5.  埋め立て地を利用して進められる予定の東部海浜開発計画は、バブル期の発想に基づく極めて杜撰(ずさん)な計画であり、多額の税金を投入する事業としては大きな問題がある。

    以上決議する

 2002年3月29日


全国自然保護連合




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