千葉県放射性廃棄物住民連絡会が発足
〜情報共有と共同行動をめざす〜
「千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会」の設立総会と記念集会が(2014年)4月6日、県弁護士会館で開かれました。参加者は60人です
千葉県の君津地域と銚子市では、8000ベクレル/kg以下の放射性廃棄物が民間の産廃処分場にどんどん埋め立てられています。さらに環境省は、8000ベクレル/kgを超える「指定廃棄物」の最終処分場を県内に1カ所設置するとし、その選定作業を進めています。
そういうなかで、放射性廃棄物をめぐる問題について情報を共有し、連携して行動するために住民連絡会を設立されました。
記念集会では、福島県内で建設が進んでいる放射性ゴミ焼却場の問題について、「放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会」の和田央子さんが報告しました。和田さんは「避難指示区域のすべての市町村と、それ以外で協力を得られた市町村に放射能ゴミ焼却場の建設が進んでいる。その数は20基におよぶ。建設の手続きは秘密裏に行われ、国に都合のいいように進められている」と批判しました。
続いて、宮城県で起きている指定廃棄物最終処分場の問題を「放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク」の佐藤茂雄さんが報告。宮城では、環境省が「指定廃棄物」最終処分場の候補地として3カ所をあげています。栗原市の深山嶽(ふかやまだけ)、加美町(かみまち)の田代岳、大和町(たいわちょう)の下原です。佐藤さんは、候補地となった3市町の動きなどを報告し、「候補地を白紙撤回させるためには、対応を首長に任せるのではなく、自治体、議会、住民、農協、市民団体などが共同し、オール態勢を築きあげることが課題になっている」と強調しました。
「放射能から子どもを守ろう関東ネット」の柴田圭子さんは、千葉の東葛地区などで低線量被ばくが危惧されている子どもの健康調査などを国に求めています。そのとりくみを報告し、「放射能問題を一人ひとりの問題として受け止めることが大事」と指摘しました。
広域近隣住民連合会の小林博三津さんは、千葉県の手賀沼終末処置場に指定廃棄物が一時保管されている問題を報告。小林さんたちは、指定廃棄物の撤去を求め、千葉地方裁判所松戸支部に千葉県を提訴しました。一時保管施設の危険性や連合会のとりくみなどを話しました。
報告の最後は、千葉の君津地域で放射性廃棄物処分の問題にとりくんでいる「小櫃川の水を守る会」と「放射性物質から生命(いのち)を守る市民の会」の佐々木悠二さんです。君津地域では、2カ所の産廃処分場に8000ベクレル/kg以下の放射性廃棄物がどんどん埋め立てられています。2カ所とも漏洩が発生しています。にもかからわず、県は新たな処分場建設を許可しました。処分場は、上水道や農業用水の水源となっている場所につくられています。そういう問題や「市民の会」などのとりくみ、今後の課題などを話しました。
報告のあと意見交換をおこない、最後に以下の集会宣言を採択しました。
集会宣言 |
千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会4・6集会
集 会 宣 言
2011年3月11日、東日本大震災を契機として発生した福島第一原子力発電所事故は、かつて私たちが経験したことのない甚大な被害をもたらしました。そして、3年を経過した今もなお、原子炉からは放射性物質の放出と汚染水の流出が続くなど、この事故自体の終息すら予測できないのが現状です。
放射能の放出とその広がりは、広範囲にわたる人々の生活を根底から破壊してきましたが、さらに今、放射能によって汚染された廃棄物の処分等に関連して、周辺住民の健康被害や環境破壊などの危険性が指摘され、各地で大きな問題となっています。
千葉県においても、8000ベクレル/kg以下の放射能を含む廃棄物が産業廃棄物最終処分場に持ち込まれて杜撰(ずさん)な処理がされていることや、8000ベクレル/kgを超える放射性廃棄物(指定廃棄物)が安全性を確保していない一時保管場所に保管されていること、指定廃棄物の最終終処分場について充分な安全性を有しているとの検証もないままに設置をするとの協議が行われていることなど、県民の健康や県内の環境にとって深刻な問題が生じています。
こうした状況を踏まえ、本日、「千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会」が設立されました。また、本日の集会では、各地から放射性廃棄物を巡る深刻な問題が報告されました。そして、これらの問題は、ただ単にその地域だけの問題ではなく、顔全体の問題として捉え、考えていくことが必要であることについても、改めて確認することができました。
私たちは今、健康被害を防止し、環境を保全するという共通の目的を掲げつつ、この目的のために、放射性廃棄物対策や放射性廃棄物の処理状況などについて相互に情報を共有し、行政その他に対し積極的な意見を発信し、そして共に行動していくことを、ここに宣言します。
2014年4月6日
集会参加者一同
「千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会」の設立集会=2014年4月6日、県弁護士会館
千葉の君津地域で起きている放射性廃棄物埋め立て問題を
報告する「小櫃川の水を守る会」の佐々木悠二さん(右)
★関連ページ
- 指定廃棄物処分場候補地の撤回を求める〜宮城県栗原市の市民団体が署名を提出(2014/5/20)
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