八ッ場ダム訴訟で東京地裁が不当判決

〜ムダな公共事業を奨励するもの〜







 八ッ場(やんば)ダムへの事業負担金支出は違法として、首都圏の1都5県で一斉に起きている住民訴訟の初判決が(2009年)5月11日、東京地裁で下されました。

 結果は原告の敗訴です。判決は「支出は違法とはいえない」などとし、原告の訴えを退けました。

 この判決に対し、傍聴席を埋めつくした傍聴人たちから閉廷後、「不当判決だ」「都民に不当な支出を背負わすのか」「水が余っているのに、裁判長は自分の出世のことしか考えていない」「裁判長はサイテイ!」などの怒りの声がだされました。

 弁護士会館で開かれた説明会では、判決内容の見方などが弁護士側から説明されました。「判決内容はすごくズサンなものであり、追及すべき点がたくさんある。この判決は重いと思うが、怖れずに足りずだ」などの意見もだされました。
 最後に、「控訴し、今後も徹底的に闘う」ということを確認しあいました。

 以下は、八ッ場ダム東京裁判判決に対する抗議声明です。


抗議声明





八ッ場ダム東京裁判判決に対する抗議声明


2009年5月11日


  1.  本日、東京地方裁判所は八ッ場ダムに関する公金支出差止等請求住民訴訟に対する判決を下した。判決は、原告の主張をまったく理解することなく、不当にも以下述べるように原告らの主張を退けた。


    •  まず、本件判決は、口頭弁論終結以前の支払差し止めを求める部分のほか、被告東京都水道局長が国土交通大臣に対し八ッ場ダム使用権設定申請を取り下げる権利の行使を遵法に怠るとの主張、及び、被告東京都知事らに八ッ場ダムに関し負担金等の支出命令をさせることの差し止めを求めた部分は地方自治法242条第2第1項所定の住民訴訟に該当しないとして却下した。

    •  次に、本件判決は、@八ッ場ダムの利水については東京都の行った将来の水道需要予測及び水源評価に不合理な点は認められない、A治水については東京都が治水上の利益を受けることはまったくないとは認められない、B貯水池周辺の地滑り等の危険性については、危険性が放置されたままの建設事業であるという事実は認められないとし、国土交通大臣の納付通知に著しく合理性を欠くとは認められないので、本件支出命令が違法であるとは言えないとして請求を棄却した。

  2.  こうした本件判決の判断は、原告らの主張をまともに受け止めようとしないもので、行政がすすめる公共事業の無駄遣いを司法の立場でチェックしようとせず、むしろ無駄な公共事業を積極的に奨励するものにほかならない。

  3.  本件判決は司法の役割を放棄した不当な内容であるから、原告らは東京高等裁判所へ控訴手続を行うとともに、他県の住民訴訟の原告らとも手を携え、引き続きたたかい続けることを表明する。今後とも、みなさまのご支援をお願いしたい。

八ッ場ダムをストップさせる東京の会原告団
八ッ場ダムをストップさせる東京の会弁護団



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