六ケ所再処理工場のウラン試験中止と
再処理放棄を求めるとりくみ
日本消費者連盟 富山洋子
2004年11月18日、青森県と六ケ所村は、六ケ所村の再処理工場における「ウラン試験」を了承。同22日「六ケ所再処理工場における使用済燃料の受け入れ及び貯蔵並びにウラン試験に伴うウランの取り扱いに当たっての周辺地域の安全確保及び環境保全に関する協定」を日本原燃と締結、12月21日、ウラン試験が強行された。
劣化ウランを約53トン使用して行うウラン試験について、日本原燃は、「臨界の恐れはない」と説明しているが、配管や機器などが放射能で汚染されるため、実施されると解体が難しく、後戻りができない状況に追い込まれてしまう。
原子力発電を行えば必ず死の灰(高レベル放射性廃棄物)とプルトニウムが生み出される。使用済み核燃料を硝酸処理して、死の灰とプルトニウム及び燃え残りのウランを取り出す作業をする再処理工場は、原子力発電所が放出する1年分の放射能を1日で出すという放射能を撒き散らす工場である。イギリスやフランスの再処理工場の周辺では、小児白血病が多発している。 再処理工場では、極めて危険な作業が行われる上に、再処理は直接処分に比較して費用もかかる。費用も含めて、使用済み核燃料の再処理工場は、私たちにとって受け入れ難いものであるが、その稼働の前提となるウラン試験もまた、危険な行程である。
ウランは、半減期45億年の極めて毒性の強い放射性物質である。天然のウランから分裂しやすい原子核を取り出したあとに残るのが「劣化ウラン」であり、劣化とは言え核分裂性が劣るだけで、有毒であることに変わりはない。
さらに、再処理工場の敷地内に断層が走っていることも指摘されている。
再処理工場から作り出されるプルトニウムの使い道も、まだ不透明であるが、日本では、余剰プルトニウムを持たないという国際条約がありながら、すでに40トンを越すプルトニウムを抱えている。核爆弾の原料となるプルトニウムは、私たちの社会に受け入れてはならない物質である。プルトニウムをこれ以上生みだしてはならない。ましてやその利用計画は認めるべきではない。
再処理工場の安全性については、青森県民の8割が疑問を持っており、すでに、その欠陥も明るみにでている。2005年1月1日には、放射能測定器の故障、同14日、原子力安全・保安院は、崩壊熱を出すガラス固化体の冷却機能が充分でない可能性があるとして、冷却効果を分析し直すよう指示した。日本原燃では、ウラン試験には影響ないとしていたが、15、16日にはウラン試験は、一時中止された。、
首都圏では、10団体(グリーンピース・ジャパン、原水禁国民会議、原子力資料情報室、ストップ・ザ・もんじゅ東京、たんぽぽ舎、大地を守る会、日本山妙法寺、日本消費者連盟、ふぇみん・婦人民主クラブ、福島原発老朽化問題を考える会)が呼びかけて、「再処理とめたい! 首都圏市民のつどい」を結成し、毎月第4水曜日に、経済産業省前で、「六ケ所再処理工場ウラン試験の中止と再処理の放棄を求める」行動を行うことを決めた。
1月26日の第1回目は、約20人が経済産業省前に集まり、道行く人々に、“ちらし”を配布しながら1時間余りウラン試験及び再処理を止めようと訴え、最後に、参加団体が各々の要請書を読み上げたうえ、担当官に手渡した。
(2005年2月)
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