■「自然と環境を守る全国交流会」参加団体


長良川市民学習会









■徳山ダムの水を長良川へ!?!?

 「無駄遣い!」「生態系破壊!」の声を押し切って建設された徳山ダム。徳山ダムの試験湛水中の2007年8月、それまで一切伏せられていた「徳山ダムの水を長良川にも流す=上流分割案」が突然発表され、当時策定手続き中だった木曽川水系河川整備計画に「木曽川水系連絡導水路」として位置づけられた。
 「なぜ徳山ダムの水が長良川に?」
 流域住民には奇っ怪であり到底納得できない。長良川は、県庁所在地である岐阜市の真ん中を流れ、岐阜県民の半分、約100万人の流域住民に深く愛されている川である。この年の末、岐阜市を中心とした関係住民で、この問題を学習する長良川市民学習会を発足させた。
 翌2008年1月には新聞に意見広告を出すとともに第1回の学習会を呼びかけ、会場いっぱいの150名近くの参加者をえた。同年3月の岐阜市議会議員へのアンケートでは6割の有効回答を得、事業者の説明不足(何の説明もない)が浮き彫りとなった。こうした勢いを背景に世論を喚起し、事業者や行政とも交渉を重ねた結果、2008 年度の本体工事着工を食い止めた。翌2009年5月の河村たかし名古屋市長の「導水路はいらない」発言、同年11月の国交大臣による「凍結」宣言などを経て、現在、工事は止まっている。


■市民による豊かな海づくり大会・生物多様性COP10

 長良川にとっての最大の環境問題は、長良川河口堰である。汽水域が喪われ、生き物の海との往来が遮断されて、長良川の自然は上流まで大きな悪影響を受けている。
 2010年に入ると、6月の岐阜県主催「第30回全国豊かな海づくり大会ぎふ長良川大会」にむけて、各新聞社が長良川に関する連載を載せ、河口堰への流域住民の批判が表面化した。
「長良川河口堰問題を無視して豊かな海づくりはありえない!」
 当会をはじめ長良川沿川の市民団体が集まって「市民による豊かな海づくり大会実行委員会」(「豊か」実行委)を形成し、岐阜県主催の“本番”1週間前に2日間にわたってイベントを開催し、大きな反響を呼んだ。
「豊か」実行委は、引き続き秋に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に取り組んだ。汽水域が消滅した長良川下流部の現状を訴える巨大ポスターを展示し、ブースでは堰直下に溜まったヘドロをおき、同時に全国各地・海外の市民団体と交流した。諫早湾開門調査の動きもあって、各方面に「長良川河口堰のゲートを上げよ」の声は届いたと思う。


■長良川をこれ以上壊すな!──内ヶ谷ダム計画

 昨年秋から全国一斉のダム事業の「再検証」が始まった。当初はあった「できるだけダムに頼らない治水」という文言は消え、検証目的が不明なまま「事業継続」結論が出された例も少なくない。岐阜県では、長良川の支流・亀尾島川(きびしまがわ)の上流で関連工事が進む「内ヶ谷ダム」について、まともな検証もないままに「事業継続」の結論が出される方向である。
 昨年11月に岐阜県が内ヶ谷ダム「検討の場」を設置してから、当会は学習会を重ね、岐阜県との交渉にも力を入れて、内ヶ谷ダム治水計画の問題性(役立たない、費用対効果が悪い)を明らかにしてきた。長良川は、河口堰によって汽水域が喪われ、すでに大きなダメージを受けている。この上、僅かに残された貴重な源流域をダムで壊してはならない。  地元の環境団体とも連携しながら、引き続きこの問題を注視していきたい。


■河口堰開門への曙光が見えてきた

 今年2月にの愛知県知事・名古屋市長の同時選挙でコンビを組んだ大村秀章氏と河村たかし氏は、共同公約で「長良川河口堰開門調査、導水路及び設楽ダムの見直し」を掲げた(両氏ともに圧勝)。共同公約の背景には名古屋でのCOP10開催の盛り上がりがある。
 6月、大村・愛知県知事は長良川河口堰検証プロジェクトチーム(PT)を発足させた。このPTやその下に設置された専門委員会には、当会代表や当会の学習会講師を務めた方々が入っている。報告書の内容は大いに期待できる。とはいえ、実際に開門調査に至るには超えねばならない幾つもの高いハードルがある。そのハードルを超えるのは市民の声、世論だ。
 長良川流域の市民の声を結集し、世論を喚起する活動を、さらに強めていきたい。
(2011年9月)



木曽川水系連絡導水路・上流分割案





市民による豊かな海づくり大会イベント



長良川河口堰で溜まったヘドロの採取



内ヶ谷ダム予定地



2011年8月4日岐阜新聞






このページの頭に戻ります
前ページに戻ります

[トップページ]  [報告・主張] [動き] [決議・意見書] [全国交流会] [自然通信] [出版物]