■「自然と環境を守る全国交流会」参加団体


八ッ場あしたの会









◆活動の概要

 八ッ場あしたの会は、「八ッ場ダム事業の見直し」と「ダム予定地の再生」を目的として2007年に発足した。
 2004年に関係1都5県で八ッ場ダム住民訴訟が提訴されたが、利根川流域というわが国で最も広域のダム問題である八ッ場ダム事業については、当の首都圏でも当時、あまり知られていなかった。こうした中、当会の先駆である八ッ場ダムを考える会(1999年発足)の活動を継承し、さらなる発展により、八ッ場ダム問題の解決を世論全般に訴えるための活動が始まった。


◆八ッ場ダム問題

 利根川上流には第二次大戦後、多くの巨大ダムが建設されてきた。これらのダム建設と同様、八ッ場ダム建設の主目的は「利根川の洪水調節」(治水)と「都市用水の確保」(利水)により首都圏の生命と財産を守ることとされている。しかしながら、「治水」の科学的根拠は当初から疑問視され、高度成長時代に必要性が強調された「利水」も、社会状況の変化によってその必要性が年々希薄になっている。
 一方、ダム建設は、地元に大きな犠牲を強い、地域社会、自然の破壊をもたらしてきた。関係都県の水道行政も水質の良い「地下水」切捨てを織り込むなど、ダム計画を前提とした歪んだものとなっている。
 行政は八ッ場ダム計画が首都圏とダム予定地域に共に利益をもたらす公共事業であると喧伝してきたが、政官財癒着の利権構造を温存するために事業を継続してきたのが実態である。


◆八ッ場ダムをめぐる状況

 2009年に政権交代を果たした民主党は、総選挙のマニフェストに「八ッ場ダム事業の中止」を掲げ、前原誠司国土交通大臣は当初、「八ッ場ダムの中止方針堅持」と「全国のダム事業の見直し」を表明した。けれども、全国のダム事業を目的として設置された「有識者会議」(国交大臣の私的諮問機関)は、殆どが従来の“御用学者”で占められ、「有識者会議」の決定したルールに則って2010年秋より始まった全国のダム検証は、ダム事業者自らによる形式的な検証作業によって旧政権下のダム事業が殆ど継続される見通しとなっている。
 八ッ場ダム事業においては、ダム事業者である国交省関東地方整備局が検証主体となり、ダム推進を主張する関係都県(東京都・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県)と共に、ダム事業を追認する形ばかりの検証作業が行われており、今秋にもダム本体工事にゴーサインが出る可能性が高まっている。
 この間、八ッ場ダム予定地では生活再建事業と称する道路、砂防などのダム関連工事が政権交代前と同様に進められ、地域社会や自然の破壊はその極限に達している。


◆八ッ場ダムの危険性

 ダム検証の中で殆ど触れられていないのが、ダムがもたらす災害の危険性である。八ッ場ダムの予定地は「地すべりのデパート」(奥西一夫京大名誉教授・地形土壌災害)と専門家に呼ばれるほど地質がもろい上に、道路や水没住民の移転代替地などの膨大な関連事業が地形・地質を無視して計画されたため、工事の進行につれて災害の危険性が高まっている。
 さる8月7日には、ダム予定地の川原湯温泉周辺で集中豪雨があり、大規模な土砂災害が発生した。これを契機に代替地の安全性を改めて検証する必要性が指摘されている。


◆主な取り組み

    ○八ッ場ダム事業のデータ収集、分析による問題提起
    ○ダム中止後の水没予定地の生活再建支援法整備
     (わが国には、ダム事業中止を前提とした法整備が未だにない)
    ○ダム問題をわかり易く世論に訴える広報活動
     (イベント、ホームページ・チラシ・書籍作成など)
    ○現地案内
(2011年9月)




水没予定地の名勝・吾妻渓谷



山を切り崩し、沢を埋め立てて造成される道路や代替地






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